10月からステマ規制がスタート!インフルエンサーマーケティングの注意点
インフルエンサーマーケティング
2023/10/20

主にSNSで絶大な影響力をもつインフルエンサー。
Z世代のなりたい職業1位に輝いたこともあり、注目度の高い存在です。
インフルエンサーの活躍が目立つようになり、マーケティングでインフルエンサーを起用する企業は年々増えています。
こうした状況の中で、注意しなければならないのがステマ(ステルスマーケティング)です。2023年10月1日より「ステマ規制」が始まり、「知らなかった」「うっかりしていた」では済まされない事態にもなりかねません。
デジタルマーケティング担当者はもちろん従業員の一人ひとりが、ステマに対するリテラシーを高めて、広告・宣伝活動を行う必要があります。
ステマとインフルエンサーマーケティングの違い
インフルエンサーマーケティングは、ステマと間違われやすいマーケティング手法ですが、全くの別物です。
両方の違いはとってもシンプル!
情報発信をする際に“「広告だ」と明示しているかどうか”という点です。
そもそもステマやインフルエンサーマーケティングが、実際どういったものなのかよく分からないという方もいらっしゃるかと思いますので、簡単にご説明いたします。
ステマとは
ステマはステルスマーケティングの略称で、「ステルス」には「内密」「こっそり行う」といった意味があります。つまり、「ステマ」とは、消費者に広告・宣伝と気づかれないようにセールスプロモーション活動を行うことです。
いわゆる「サクラ」や「ヤラセ」もステマ行為のひとつに分類されます。
◈ 一般消費者になりすまして投稿する
◈ 芸能人やインフルエンサーに広告であることを隠して紹介してもらう
◈ メディアに広告であることを隠して紹介してもらう
ステマは”消費者を騙す行為”です。
消費者の商品やサービスに対する正しい判断・選択を妨げる恐れがある他、ステマが発覚すると、企業や業界、インフルエンサーの信用を損ないかねません。
インフルエンサーマーケティングとは
「インフルエンサー」とは、X(旧Twitter)・Instagram・YouTube・TikTokなどSNS上で、他のユーザーに対して強い影響力をもつ人物のことです。インフルエンサーを介して製品やサービスを宣伝し、ブランドの認知度を高めるマーケティング戦略の一形態を「インフルエンサーマーケティング」と言います。
インフルエンサーは美容系やファッション、料理など、何かひとつのことに特化している人が多いのが特徴です。そのため、特定のターゲット層に向けて効果的なプロモーションを行うことができます。
また、インフルエンサーは一般的な広告に比べて、自身の個人的な経験や感想に基づいてコンテンツを発信するため、信頼性が高い傾向にあります。
THECOO株式会社が実施した調査「インフルエンサーのPR投稿を通じた影響力」の結果によると
◈ 45%がPR投稿をみて購入した経験あり
◈ 全体の64%が「PR投稿への信頼性は通常と変わらない」
ということが分かっています。
インフルエンサーとフォロワーとの間に良好な関係が構築されていればいるほど、発信内容がフォロワーから信頼されやすいと言えるでしょう。
10月施行!「ステマ規制」で何が変わる?
これまで日本では、ステマに対する厳格な法規制はありませんでしたが、2023年10月1日より「景品表示法違反」とみなされるようになりました。これはSNSだけでなく、テレビやラジオ、新聞、雑誌なども規制の対象です。
規制の対象となるのは広告主の事業者だけで、広告・宣伝の依頼を受けたインフルエンサーなどの第三者は処分されません。
景品表示法に違反した場合は、事業者に対して措置命令が行われます。
なお、措置命令に違反した場合には刑事罰(景品表示法第36条)の対象となり、2年以下の懲役または300万円以下の罰金のいずれかまたは両方が科されます。
そのため、インフルエンサーマーケティングを行う企業は、ステマにならないよう、今後より慎重な広告・宣伝活動を行わなければなりません。
過去の投稿も「ステマ規制」の対象
10月より始まった「ステマ規制」は、2023年9月30日以前に投稿されたものであっても、インターネット上で閲覧可能な状態になっている場合は規制の対象となります。
無意識のうちにステマを行っているケースも少なくありません。企業は過去の情報発信の内容を総点検し、できるだけ早く対処することが求められます。
ステマ規制の対象とならないケース
景品表示法5条3号に基づき、以下の2つの要件を満たす場合に、ステマ規制の対象となります。
◈ 一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示
◈ 事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示
つまり、インフルエンサーなどの第三者が自らの意思で、その商品やサービスのレビューを投稿した場合はステマとみなされることはありません。
運用基準では「事業者が第三者の表示に関与したとしても、客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められるものであれば、事業者の表示には当たらない。」とあります。
ただし、投稿が企業からの依頼なのか、消費者の自主的な投稿なのか、このあたりの線引きは非常に難しい問題と言えるでしょう。
ステマにならないために
ステマを防ぐためには、企業はどのようなポイントを抑えておくべきでしょうか。
広告主とインフルエンサーの関係性を明示する
ステマ規制に触れないためには、情報発信者と事業者との間に、どのような関係性があるのかを明らかにすることが重要です。
具体的には、事業者の企業名やブランド名などの明示や、「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」といった表示を明瞭に行う必要があります。
事業者の表示を記載していても、大量のハッシュタグの中に紛れてしまっていたり、文字サイズを極端に小さくしたり、文字色が薄かったりなど、広告の表記が分かりにくい場合には、ステマと判断されてしまいます。
必ず、消費者にとって広告であることが分かりやすい文言を、分かりやすい場所に表示しましょう。
正しい情報のみを発信する
広告であることが明示されている場合でも、商品やサービスに関する品質や価格などの情報に虚偽や誇張が含まれていないか気をつけるべきです。そういった表示は、景品表示法における「優良誤認表示」や「有利誤認表示」に該当する可能性があります。
また、競合他社の商品やサービスを不当に低く評価するような表示も控えましょう。景品表示法における「不当表示」とみなされる可能性があります。
参照:景品表示法とステルスマーケティング~事例で分かるステルスマーケティング告示ガイドブック[PDF:3.0MB]
正しい知識を身につけ、健全なインフルエンサーマーケティングを行おう
ステマは行政処分の対象となるだけでなく、企業やブランドのイメージダウンにつながり、事業活動にも重大な影響を及ぼすリスクがあります。
今後のマーケティング活動に不安がある場合には、消費者庁ウェブサイトやパンフレットをよく確認し、消費者庁の窓口へ相談・問い合わせしてみるとよいでしょう。
消費者庁 表示対策課 指導係
TEL.03-3507-8800(代表)
消費者庁ウェブサイト 景品表示法ページ
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/
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